三陸海岸の中でも宮古地域より北部の北三陸は、地盤が大きく隆起することでできたリアス式海岸で、断崖や岩場が多いダイナミックな海岸線が続いているのが特徴です。
養殖棚などの漁業設備を設置するのが難しい地形のため、親潮と黒潮に乗って三陸沖に集まる魚を獲る漁業や、浜に隣接した施設で海洋資源を育てる漁業が盛んです。
山から海に流れる出る水には、魚や海藻類のエサとなるプランクトンなどの栄養がたくさん含まれています。
北三陸では山の水が断崖から直接海に流れ込むので、その豊かな栄養分がワカメや昆布を立派に育てます。
そんな美味しい昆布をたくさん食べて、北三陸のウニは大きくなります。
北三陸のウニ漁は初春から長くともお盆の時期まで。
毎年5月の連休に種市で行われる直売会を皮切りに、この期間は各地で美味しいウニが楽しめるイベントが行われます。
鮮魚店やスーパーでは牛乳瓶に入った生ウニが売られ、飲食店には「うに丼あります」や「ウニ街道」といったのぼりが立ち並び、街は生ウニを求める人々で賑わいます。
養殖棚が作れない北三陸で獲れるホヤは海底に育つ天然モノ。
かつて有名な産地であった洋野町八木地区では、資源を獲りつくしてしまったため、現在は種市地区でしか漁ができません。
たった2人しかいない南部もぐり(ダイバー)が、海底の資源を管理しながらひとつひとつ手作業でホヤを採取します。
広い海底で外海の荒波に揉まれて育つ天然ホヤは、丸々と太り無骨な外観で身が厚く引き締まっていて、三陸南部で獲れる養殖ホヤとは異なります。
東日本大震災で市場から養殖ホヤがなくなった時期に、どうしてもホヤが食べたいと言って種市の天然ホヤを食べた南三陸のお客様に「これはホヤじゃない!」とお叱りを受けた…そんな笑い話もあるほどです。
三陸沖で獲れる銀鮭から採れる卵を、地の利を生かして鮮度を保ったまま加工します。
川に上り出産直前の鮭に比べ、沖で獲れた鮭の卵は、まだ表皮が柔らかく一粒一粒の味わいやコクも濃厚な上物。小粒で薄皮の口溶けのよいものが「3特」と呼ばれる最上級イクラになります。
醤油ベースの調味液で漬ける「醤油いくら」は、各家庭やお店によって独自のレシピがあり、みなさんこだわりの味を持っています。